多発性骨髄腫の治療法は自家造血幹細胞移植実施の可否で分かれる

多発性骨髄腫の治療法は、大きく「抗がん剤治療」、「維持療法(臨床試験による)」、「支持療法」に分けられます。治療法は、自家造血幹細胞移植の実施の可否により分かれます。

多発性骨髄腫の治療法

多発性骨髄腫の治療法
多発性骨髄腫の治療法

自家造血幹細胞移植で
造血の回復をはかる

自家造血幹細胞移植

抗がん剤で骨髄腫細胞を抑え込んだ後、患者さんの体から血液を作る「造血幹細胞」を採取しておき、大量化学療法(抗がん剤投与)を行った後に、造血幹細胞を再び血液中に注入し、造血の回復をはかる治療です。

自家造血幹細胞移植が可能な条件1)

  • 65歳未満が目安

  • 重要な臓器の機能が保持されている

  • 心肺機能が正常

これらをすべて満たす患者さん

1)日本血液学会 編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版, 金原出版, 2013.

自家造血幹細胞移植の流れ

  • 抗がん剤
  • 造血幹細胞の採取
  • 大量化学療法

    +

    自家造血幹細胞移植

抗がん剤治療で
骨髄腫細胞の増殖を抑え込む

多発性骨髄腫では、自家造血幹細胞移植が適さない患者さんには、2剤または3剤の抗がん剤を用いた治療が行われます。使用される抗がん剤の種類は、それぞれの患者さんの状態によって異なります。
また、抗がん剤治療に併用して、支持療法が行われる場合もあります。

放射線療法で骨病変を治療

骨の痛みがひどい場合や、脊椎の腫瘍細胞の塊により麻痺を起こした患者さんに対し、その場所に限定して放射線を照射し、痛みを軽減します。

骨病変に対しては、患者さんの状態に応じて、放射線療法の他に外科治療や薬物治療が行われます。

多発性骨髄腫の治療法

維持療法で再発を遅らせる

初期治療が有効なら経過観察し、場合によっては維持療法が実施されることがあります。維持療法は、再発予防の効果を期待して行われます。現在では、維持療法が患者さんの生存期間を延ばすかどうかは明らかではないため、受けられるかどうかは、その利点と欠点について、担当医とよくご相談されることをお勧めします。

※維持療法:再発や進行を防ぐために、初回治療で使用した薬のうち副作用が比較的軽い薬を期間を限定せず、効果が期待できる限り投与すること。

効果判定で治療の効果を評価

効果判定は、治療の効果を評価するために行われます。十分な効果が得られていない、もしくは得られていた効果を失った場合は効果判定の結果にもとづき、治療法の変更が検討されます。

主な指標

多発性骨髄腫では、がん細胞やがんの徴候が消失する「完全奏効」を目指して治療が行われます。
効果判定では、Mタンパクと骨髄腫細胞がどのくらい消失しているかを主な指標としています。

効果判定規準

多発性骨髄腫には、いくつかの効果判定規準がありますが、なかでも国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)が提唱した6段階の判定規準が広く用いられています。

※国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG):多発性骨髄腫の世界的な研究グループ

効果判定規準(IMWG)

再発後の治療は初期治療の
最終投与から再発までの期間や、
前治療薬の内容により分かれる

再発した場合、初期治療の最終投与からの再発の時期によって治療法が異なります。

初期治療の最終投与から6ヵ月以上経過してからの
再発(特に1年以上経過してからの再発)

  • 初期治療で用いた薬による薬物治療

  • 初期治療で用いていない新しい薬による薬物治療

初期治療の最終投与から6ヵ月
未満での再発

  • 初期治療で用いていない新しい薬による薬物治療

再発後の治療に用いる薬は新たな薬の開発が進んでおり、今後選択肢が増える可能性があります。

支持療法で副作用などを軽減し、
生活の質を維持

支持療法とは

支持療法は、①多発性骨髄腫に伴う症状、②治療による副作用を軽減する目的で行われる治療や予防策のことを指します。

たとえば、抗がん剤を投与すると、血液を造る能力が低下するため、免疫力の低下や貧血がみられたり、出血しやすくなります。このような場合、支持療法として輸血を行うことで、治療を安全に進めることができます。

多発性骨髄腫が進行し、重大な合併症がある場合は、これらを先に治療することがあります。

多発性骨髄腫における合併症と対症療法1)

多発性骨髄腫における合併症と対症療法

1)新がん化学療法ベスト・プラクティス, 照林社, 2012.より改変